生前贈与された土地の活用法と手続きの流れ!控除についても解説
上尾市や桶川市で土地の生前贈与を受けた場合、その活用方法や手続きの流れについて知っておくことが大切です。
贈与された土地は、自分や家族が居住するために使うほか、賃貸住宅や駐車場として収益化することも可能です。また、利用予定がない場合には不動産売却を検討し、現金化することで固定資産税の負担を軽減できます。贈与契約書の作成や名義変更の手続きに加え、控除を活用して税負担を減らすことも重要です。
目次
生前贈与の基礎知識!暦年課税と相続時精算課税
生前贈与とは、自分が生きている間に財産を配偶者や子どもなどに贈与する行為です。贈与には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの方法があります。どちらの方法が適しているかは、財産の状況や相続計画に応じた慎重な判断が必要です。
◇生前贈与とは
生前贈与とは、自分が生きている間に財産を他者に分け与える行為のことです。一般的には配偶者や子どもなどの親族を対象とすることが多いですが、他人に財産を与える場合も生前贈与に該当します。民法では、生前贈与を「片務契約」「諾成契約」「無償契約」の3つの特性を持つものとして定義しています。
具体的には、贈与者だけが財産を与える責任を負い、受贈者には何の責任もない「片務契約」、双方の合意のみで成立する「諾成契約」、そして財産を無償で与える「無償契約」であることが必要です。これらの条件を満たさない場合、例えば親が子どもに内緒で通帳を作りお金を振り込む行為などは、贈与とは認められません。
また、相続税法では、民法上の贈与とは異なる「みなし贈与」も規定しています。これは、低額譲渡や保険金の取得、債務免除などを通じて実質的な利益を得た場合、相続があったとみなして相続税を課税するものです。
◇暦年課税
暦年課税は、年間110万円までの非課税枠を利用して行う贈与で、多くの人が利用しています。この方法では、1年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税がかからず、申告も不要です。しかし、110万円を超える部分には贈与税がかかり、その金額に応じて10%から55%の税率が適用されます。
出典元:国税庁 財産をもらったとき
◇相続時精算課税
相続時精算課税は、60歳以上の親や祖父母が20歳以上の子どもや孫に対して、一度にまとまった財産を贈与する場合に利用できる制度です。この方式では、2,500万円までの贈与には贈与税がかかりません。ただし、贈与した財産は将来的に相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。2,500万円を超える部分に対しては一律20%の税率が適用されます。
なお、暦年課税方式との併用はできないため、自分の状況に合わせてどちらの方式が適しているかを慎重に検討することが重要です。
出典元:国税庁 財産をもらったとき
土地を生前贈与した場合の活用法
画像出典:フォトAC
土地を生前贈与された場合、その活用法として自分や家族が居住する、収益化する、あるいは売却して現金化するなどの選択肢があります。既に家屋がある土地は比較的利用しやすいですが、更地の場合や収益化を考える場合は、維持費や初期投資を考慮しなければなりません。それぞれの状況に応じた活用法を選ぶことが大切です。
◇自分や身内が活用する
自分や家族がその土地を利用する方法が最もシンプルです。既に家屋が建っている場合は、税金や維持費を除けば、そのまま居住用として引き継ぐことに大きな懸念点はありません。しかし、贈与された土地が更地の場合や受贈者が既に持ち家を持っている場合は、建築費や維持費などのコストを考慮する必要があります。
◇収益化
土地を活用して収益化する方法もあります。賃貸住宅を建てたり、駐車場として運用したりするなど、土地を活用して収入を得ることが可能です。ただし、この方法には不動産に関する知識や初期投資が必要となるため、専門家に相談しながら計画を進める必要があります。
◇売却
利用予定がない場合には売却を検討するのも有効です。土地を所有するだけでも固定資産税や維持管理費などのコストがかかるため、特に更地の場合は税金が高くなる傾向があります。そのため、売却して現金化することで、経済的な利点があるケースが多いです。それぞれの状況に応じた適切な活用方法を選ぶことが大切です。
不動産生前贈与の手続き
不動産の生前贈与を行う際には、名義変更や贈与契約書の作成が重要です。これらの手続きは専門的で複雑なため、司法書士に依頼することが多く、正確に進めることが求められます。
◇必要な書類について
不動産の生前贈与を行う際には、さまざまな書類の準備が必要です。名義変更の手続きに必要な書類は多岐にわたり、複雑な手続きとなるため、専門家である司法書士などに依頼するケースも多くみられます。主な必要書類として挙げられるのは、「登記申請書」と「贈与契約書などの登記原因証明情報」です。これらは、不動産の贈与の事実とその詳細を証明するために必要となります。
また、贈与者の「印鑑証明書」と、対象となる不動産の「固定資産評価証明書」「登記済権利証(登記識別情報通知)」も必要です。これらは、不動産の所有権の確認や評価額の証明に使われます。
受贈者については、「住民票の写し」が必要となります。さらに、登録免許税を納付するための「収入印紙を貼った印紙台紙」や、贈与者・受贈者双方の「本人確認書類」も用意する必要があります。
手続きの際に専門家に依頼する場合は、「委任状」も必要となります。これらの書類を正確に用意することで、不動産の生前贈与の手続きが円滑に進められます。
◇贈与契約書の作成
不動産の生前贈与を行う際には、贈与契約書を作成することが重要です。贈与は贈与者と受贈者の合意により口約束でも成立しますが、相続時に税務署や他の相続人とのトラブルを防ぐため、契約書を作成しておくことが推奨されます。贈与契約書には決まった様式はありませんが、以下の内容を確実に記載する必要があります。
1.贈与契約の締結日および履行日
2.贈与者の住所と氏名
3.受贈者の住所と氏名
4.贈与財産に関する情報
5.贈与する方法
契約書は贈与者と受贈者用に2通作成し、それぞれが保管します。手書きでもパソコンでも作成可能ですが、署名と日付は信憑性を高めるために手書きで記入することが望ましいです。また、氏名の横に捺印する際には、印鑑登録された実印を使用することで契約書の信頼性を高められます。
さらに、不動産の贈与契約書は印紙税の対象となり、200円の収入印紙を貼付して消印を押す必要があります。契約書を適切に作成することで、贈与の事実を明確にし、将来のトラブルを防止することが可能です。
◇名義変更
不動産の生前贈与を行う際には、贈与契約を締結した後、法務局で不動産の名義変更手続きを行う必要があります。この手続きは、不動産の所在地を管轄している法務局で登記申請を行うことで進められます。名義変更の流れは以下の通りです。
まず、必要な書類を収集し、登記申請書を作成します。これに含まれるのは、贈与契約書や固定資産評価証明書、印鑑証明書などです。次に、不動産の所在地を管轄する法務局へ登記申請書一式を提出し、登録免許税を納付します。この登録免許税は、贈与による所有権移転登記の際に必要な税金です。
申請書を提出した後、内容の確認が行われ、場合によっては間違いの訂正や追加書類の提出を求められることがあります。その対応が完了すると、最後に登記識別情報通知を受領します。この通知は、新たな名義人としての権利を証明する重要な書類です。これらの手続きを適切に行うことで、不動産の生前贈与における名義変更が正式に完了します。
生前贈与に関する特例について理解しよう
生前贈与には、贈与税の負担を軽減できる特例があります。例えば、婚姻期間が20年以上の夫婦間で適用される「配偶者控除」や、一定の条件下でまとまった額を非課税で贈与できる「相続時精算課税制度」が代表的です。これらの特例を上手に活用することで、将来の相続税負担を減らせます。
◇配偶者控除
生前贈与には、特定の条件を満たすことで利用できる特例がいくつかあります。そのひとつが「配偶者控除」です。この控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産や居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合に適用されます。
通常の贈与では、年間110万円の基礎控除が設けられていますが、配偶者控除を利用すると、これに加えて最大2,000万円までの贈与が非課税となります。この特例を活用することで、夫婦間での居住用財産の贈与における税負担を大幅に軽減することが可能です。
出典元:国税庁 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
◇相続時精算課税制度
もうひとつの特例は「相続時精算課税制度」です。この制度は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫に財産を贈与した際に選択できる制度です。相続時精算課税を選択すると、2,500万円までの贈与が非課税となります。
ただし、この制度を利用する場合、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。贈与財産は将来的に相続財産に含まれ、相続税の課税対象となりますが、一度に大きな金額を贈与したい場合や長期的な相続対策として有効です。
出典元:国税庁 相続時精算課税の選択
生前贈与とは、生きている間に配偶者や子どもなどに財産を贈与する行為で、暦年課税と相続時精算課税の2つの方法があります。
暦年課税では、年間110万円までが非課税で、超える部分には10%から55%の贈与税がかかります。一方、相続時精算課税では、2,500万円までの贈与が非課税ですが、将来的に相続財産として課税されます。
また、配偶者控除などの特例を利用すれば、夫婦間で最大2,000万円までの財産を非課税で贈与でき、将来の税負担を軽減できます。どちらの方法が適しているかは、財産や相続計画に応じて慎重に判断することが大切です。